2007年5月27日日曜日

学校図書館を機能させるために

 今まで四つの中学校を見てきたがどの図書館も「読書センター」の役割すら果たしていない状態であり、自分の中学生時代のイメージどおり「辺境の地」であった。どこでも図書委員会があり、お奨め図書のお知らせもあったが、あくまでも国語の先生のがんばりでその存在がたまにアピールされる程度だった。
 図書館の活躍が期待される「総合的な学習の時間」についても教員のモチベーションは低い。文科省および教育委員会がやれと言うから仕方なくやっているだけだ。多くの生徒にとっても、レポートさえそれなりに書ければ遊んでいられる本来の意味とは違う楽しい時間になっている。優秀な生徒ほど楽に仕上げる方法に長け、学力が低い生徒は最初から参加していないのが実態だ。
 生徒たちのレポートをそれなりの体裁に仕上げるのに大いに役に立っているのがインターネットである。ネット上の情報は内容の信頼性はともかくとして簡潔にまとめられていることが多く、丸写しするのに大変都合がよい。さらに、図や写真が豊富なので印刷して貼ったりすれば大きくスペースを消化できる。生徒たちはどの程度のレポートを書けば教員がOKを出すかをよく心得ている。そんな活動に調べ学習の意義などあるはずもない。
 「学習センター」としての学校図書館は、生徒が自分たち自身で勝手に想定しているありがちな結論に、簡単にたどり着けないような資料の組織化をしなければならない。すなわち、読んで考えなければならないような多様な選択肢を与えることだ。数多くの資料を準備し「必要なものを選ぶ」という作業をさせなければならない。
 必要な図書をそろえることがまず必要だが、大きな入れ替えのときには図書予算が紐付きで、学校が必要とする図書が事実上購入できない事が多い。また、他の中学校との図書のやりとりは運搬手段が自転車か徒歩に限られるため難しい。都内中学校では車での通勤は許可されないため、区に申請を出して車を借りるしかないのだ。その申請はかなり面倒なもので色々な書類や判子が必要となる。
 では当面の対策として司書教諭としてとるべき道は何か。公共図書館との協力関係を確立することである。大量の書籍を配達してもらえる体制が整っているというのは大きい。しかし、わが校では生徒の利用モラルの問題であまり関係が良いと言えず、関係の修復をはかることから始めなければならない。
 もちろん長期的な計画のもと必要な本の購入も進めなければならない。むろん読書センターとしての役割もあるわけなので調べ学習用の資料とのバランスが大切になる。こういったことを決めるには、校内に図書に関する分掌なり委員会なりがあって、討議をする必要がある。そういった環境を整えるための呼びかけも司書教諭の仕事だと思う。

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